(地独)東京都健康長寿医療センター研究所
老年病理学研究チーム 高齢者がん研究
研究部長  石渡 俊行
  • 小間番号:A-47
アカデミック フォーラム
 
発表タイトル: 新規治療法の開発を目指した膵臓がんの糖鎖発現の多様性と老化誘導研究
発表内容: 膵臓がん細胞は上皮系と間葉系形質に分類可能で、糖鎖発現や抗がん剤の効果が異なっていた。FGFR4高発現の膵臓がん細胞では老化誘導と老化細胞除去が可能であった。
口頭発表日時: 7月15日 (金)  11:30 ~ 12:00
口頭発表会場: ACA-2
 
問い合わせ先
担当者・担当部署: 五味 不二也 電話番号: 03-3964-1141 E-mail: gomif@tmig.or.jp
大学・研究機関URL: https://ttaggg-rtgp.org/
 
研究内容の概要/特長
膵臓がん細胞株は上皮系か間葉系形質を示す細胞に分けられ、3次元培養で形態、機能の違いが明瞭となることを最近報告した。上皮系と間葉系膵臓がん細胞ではGD1a, GM2などの糖鎖とムチンの発現や、抗癌剤の有効性が異なっていた。一方、線維芽細胞増殖因子受容体のFGFR4が高発現している膵臓がん細胞株はFGFR4阻害剤の投与により、がんの増殖と浸潤が抑制されるとともに、がん細胞自身に細胞老化が誘導された。
従来技術・競合技術との違い
3次元培養とヒト膵臓がん組織を用いた研究成果であり、膵臓がん細胞に発現する糖鎖を標的とする早期診断法や分子標的治療法、光免疫療法法などへの応用も期待できる。FGFR4の阻害剤が膵臓がんの増殖と浸潤を抑制することに加え、老化を誘導することが可能であることを明らかにした。FGFR4を発現する膵臓がんに対して老化誘導し、老化細胞死誘導薬を併用する今までにない画期的な治療法となる可能性がある。
来場者へのPRポイント
GM2, GD1aとFGFR4は膵臓がんで発現し早期診断や新規治療法の標的として期待される。FGFR4阻害による膵臓がん細胞の老化誘導と老化細胞除去療法は独創的な治療法で、今後の発展が期待される。特許出願中である。
想定される応用分野
GM2, GD1aとFGFR4は膵臓がんの早期発見のためのバイオマーカーとしての可能性とともに、これらを標的とした分子標的治療や光免疫療法への応用も考えられる。FGFR4を発現している膵臓がんに対しては、FGFR4阻害剤と老化細胞死誘導薬により老化細胞除去療法の開発が可能と考えている。
 
発表者プロフィール
1988年 - 2000年 日本医科大学 医学部 病理学教室 助手
1995年-1998年 カリフォルニア大学アーバイン校留学 (Murray Korc教授)
2000年 - 2003年 日本医科大学 医学部 病理学教室 講師
2004年 - 2015年12月 日本医科大学 医学部 病理学教室 准教授
2016年1月 - 現在 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所 研究部長 老年病理学研究チーム・チームリーダー 高齢者がん研究テーマ・テーマリーダー

日本学術振興会 科学研究費補助金 審査委員
 平成28、29年度 消化器内科分野、基盤研究(C)
 平成30、31年度 消化器外科分野、若手研究 

・Top 100 downloaded articles in cancer, 2021. Scientific Reports誌
・High citation award 2018, Pathology International誌
・PanCAN best basic research award , 2015
・平成27年 日本病理学会学術研究賞(A演説)

論文発表:212編 (researchmap): https://researchmap.jp/read0051170

論文被引用数:現在までに9462回、2021年は647回、h指標:55、i10指標:141 (Google Scholar)

日本癌学会評議員、日本膵臓学会評議員、日本病理学会学術評議員


 
 
 
(敬称略)
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